腰痛で悩んでいる方は 非常に多く、厚生労働省 の「国民生活基礎調査」で は、男性の自覚症状の第1 位、女性も肩凝りに次いで 第2位という結果が出て います。腰痛に一度も悩むことなく生涯を終える人というのは、人口のせいぜい1~2割だろうとも言われています。
こんなときは早めの受診
大半の腰痛は自然によくなりますが、まれながら治療を 急ぐべきケースもあります。
腰痛が起こりうる疾患
腰部脊柱管狭窄症
脊椎の内部の神経の通り道である「脊柱管」が狭 くなり、神経や血管を圧迫する病気です。高齢者の 腰痛や足のしびれ、歩行障害の原因となります。 椎間板ヘルニア 椎間板が飛び出して神経を圧迫し腰痛・坐骨神経 痛を起こす、比較的若い人に多い病気です。
変形性脊椎症
加齢変化で椎間板が磨り減ったり椎骨が変形し、 腰痛が起きることがあります。
骨粗鬆症
骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。脊骨が潰れる圧迫骨折などによって強い腰痛が起こります。とくに中高齢女性に多い病気です。
スポーツ障害や外傷
外からの衝撃で起きる椎骨のずれや部分的な骨折、筋肉の炎症も腰痛の原因となります。
脊椎炎
女性に多いリウマチ、あるいは細菌による脊椎の化膿性炎症による腰痛もあります。
がんの転移
がんの脊椎への転移も強い腰痛を引き起こします。近年、がん自体の治療成績が向し、患者さんの寿命が延びたため、このような腰痛が増えています。
内臓や血管の病気による腰痛
腎結石や胆石、子宮の病気などの内臓の病気で腰痛が起きることも珍しくありません。
膵炎や十二指腸潰瘍などでは、腰よりやや上の背中に痛みが走ることがあります。
また、お腹を通っている大動脈の内側の壁が破れて(大動脈解離)、激しい腰痛が急に起きることがあります。救急治療が必要な‘危険な腰痛’の代表です。
腰痛の予防 簡単体操
腰の周りの筋肉を鍛えることで腰痛を予防します。とくに重要なのは腹筋です。腹筋は腰の骨から離れているため、近くにある背筋に比べて体をささえる仕事が簡単にできるわけです(シーソーを思い出してください。てこの原理です)。
ただ腹筋はなまける傾向があり、その結果腹筋が弱ってお腹が出てきます。腹筋が弱ると筋肉のバランスが悪くなり、腰に負担がかかるようになります。
背筋が硬くなって縮んでしまった場合にもバランスが崩れるため、こちらも防ぐ必要があります。
腰痛体操の基本は腹筋を強くする、背筋、お尻、太腿の後ろなどの筋肉を柔軟にすることが大事です。
腰痛症は、非常に一般的な疾患で、生涯に一度はなるものです。保存的治療法でよくなり、手術をすることはほとんどありません。
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